アヴェダがヴィーガン100%処方になったよ!

オンラインで行われたアヴェダサステナビリティカンファレンスのレポートをお届けします。3年かけて900以上の原材料をチェックしたんだって。
長田杏奈 2021.01.31
読者限定

1月ラストの週末、いかがお過ごしですか? 私は土曜の午前中に『みんなで話そう"社会を動かす3.5%" ー私たちの視点から見る「あと4年」ー』という環境問題をテーマにしたオンラインイベントを視聴しました。地球温暖化の現在地や個人ができるアクションについて勉強になったと同時に、アクティビストや声をあげた人が直面するストレスや乗り越えるノウハウは、分野をまたいで共通するものがあるなぁというのも印象的でした。

環境問題について、美容業界の課題はわりと山積……。だからこそ、よい取り組みについてはなるべく前のめりでいたい! というわけで、このほどすべてのヘアケア、スタイリング、ボディケア、スキンケア、アロマ、ヘアカラー製品において100%ヴィーガン処方を達成したアヴェダが主催した、サステナビリティプレスカンファレンスについてシェアします。興味のある人に届くことを願っての真面目回です。Podcast「なんかなんかコスメ」対応エピソードS1E57

ヴィーガンコスメを選ぶメリットは?

まずは、自らもヴィーガン歴7年だというアヴェダ グローバル ブランド プレジデントのバーバラ・ドゥ・ラエール氏が、ヴィーガニズムについて解説。

ヴィーガニズムは動物由来の製品を食べず使わずない行為で、100%プラントベースの生活様式。入り口は人それぞれで、動物や環境に対する不当な扱いに反対し、思いやりのあるライフスタイルを追求するのが「エシカルヴィーガニズム」、健康やダイエットのために取り入れる「ヘルスヴィーガニズム」(ヴィーガンな食生活が飽和脂肪酸を減らすことが実証されている。近い概念にクリーンイーティングがあり、加工食品を控える人も多い)などがあるそう。

日常生活にヴィーガニズムを取り入れるメリットとして注目されているのが、肉類や乳製品の大量消費による地球環境への負荷を減らし、自らのカーボンフットプリント(温室効果ガスを含めたCO2の排出量の足跡)を削減できるという点。地球温暖化という観点から問題視されているのは、肉類や乳製品を賄うための畜産業による温室効果ガスの排出量が、世界中の交通機関を全て合わせた量よりも多いこと。飼料の製造に使う肥料を作るために石油が燃やされ、畜産施設で使用される電気やディーゼル燃料が年間9000万トンものCO2を排出し、世界貿易により動物の輸送は長距離に渡ることが多くそのぶんだけ石油が消費されること。さらには、家畜自体や飼料のための肥料の保管によって、地球温暖化への影響がCO2の約28倍のメタンガス、約265倍の亜酸化窒素も発生してしまうことが危惧されています。畜産業による環境への負荷が、テクノロジーなどで解決できればいいのだけれど……。

もちろん、これらすべてが化粧品業界の影響とは言えないものの、企業が動物由来成分を仕入れ続けることは、結果的に畜産業の成長を促し続けることになってしまう。
「私たちは、本当はわかっているのです。何を買うか、しっかりと選択することで個人でも企業でも、皆、変化をもたらす力を持っているのです」(バーバラさん)。

つまり、ヴィーガンコスメを選ぶメリットとして、動物由来成分の需要を削減することで、動物保護、天然資源の搾取防止、過剰な二酸化炭素排出の抑制に繋がると言えます。

消費者の意識の高まりがヴィーガン市場を牽引

欧米の美容業界では2018年頃からヴィーガンコスメがメインストリーム化し、大手の参入や低下価格化が始まりました。2年ほどのタイムラグを経て、日本でも「ヴィーガンコスメ」や「クリーンビューティー」のアナウンスが増加。ヴィーガンコスメ市場の2020年〜2025年のCAGR(年平均成長率)は6.5%になると予想されています。ファッションでもウチワサボテンなどの植物から作られたヴィーガンレザーなど、さまざまなトレンドが誕生していますよね。

バーバラさんによれば、米国でのヴィーガニズム市場の伸び率は+600%。イタリアでは+94%。Googleの調査によれば、世界中で最もヴィーガンが検索されているのはイギリスなのだそう。2017年から2019年にかけて、米国の植物ベースの食品産業は40%成長。グローバルキャスト(世界的な見通し)では、植物ベースの代替食品の市場が、2025年までに279億ドル規模まで成長する可能性があると予想されています。

Netflixで多くの支持を得た、『ゲームチェンチャー:スポーツ栄養学の真実(The Game Changers)』『健康って何?(What the Health)』など、ヴィーガニズムに触れるこれまでにない教育リソースの提供も、ヴィーガン意識が高まる追い風に。2020年末の時点で、世界のヴィーガン人口は全体の約3%に到達。

世界規模でヴィーガン市場の収益増を押し上げているのが、動物由来成分の使用に関する消費者の意識の高まりとヴィーガン認証製品の需要の高まりです。同様に、動物実験の副次的な影響についても関心が寄せられ、動物実験を行わない製品の需要が高まっています。バーバラさん曰く、特にアジア圏ではヴィーガニズムのようなムーブメントが大都市で急速に進んでいて、新型コロナウィルスの影響が落ち着いた後はさらに急速に発展していくものと予測されているとか。

3年かけて900種以上の成分を吟味。
ヴィーガン処方100%までの道のり

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続きは、6262文字あります。
  • 見習いたい! アヴェダの環境保護への取り組み
  • モデルで環境活動家のアリゾナ・ミューズ「自分の中の活動家を見つけてほしい」
  • ミツバチとヴィーガニズムとサステナビリティー
  • 一人が1ヶ月ヴィーガン生活を送ると……。Veganuary Workplace Challenge
  • 利益と社会的責任は相反しない
  • アースデイ期間にシャンプーバーが発売予定

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