どうせなら〇〇な企業にお金を使おう

暑い→豪雨→涼しい→暑いと、蝉も戸惑う気候が続いています。今日は、どうせ使うお金なら、女性や人権を大事にする企業に使いたい件について書いてみたよ。
長田杏奈 2021.08.19
誰でも

「どうせ使うお金なら女に使おう」

幸い私とあなたには選択できるチャンスがあり、消費者としての力は決して小さくない。集結させさえすればいいのだ。どうせ使うお金、女に使おう。
キム・ジナ著/すんみ、小山内園子訳『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』(祥伝社)より

 上記はフェミニズムブックカフェ『ウルフソーシャルクラブ』のオーナー、キム・ジナ氏の著書からの一節。女性焙煎士にペイすべくコーヒー豆の仕入先を変えた話を糸口に、「結局女は、男より少ない稼ぎで男より多くの金を使っているわけだ。主に男たちに」と外食産業における経済格差をひも解く。

 このエッセイで、Googleマップで女性リーダーの事業体を示す「Women-led」マークの存在を知った。「Women-led」は、ジェンダー平等を促すための取り組みとして、2018年の3月にスタート。日本でも、Googleの検索やマップに表示される自社情報を管理する「Google マイビジネス」上で、「属性」のひとつとして選択可能だ。お店を選ぶときに、テラス席や Wi-Fi の有無、利用可能な支払い方法、バリアフリーやLGBTQフレンドリーと同じような感覚で、「Women-led」なビジネスかどうかチェックできる。

 ちなみに「Women-led」は、日本語だと「女性が活躍、経営するビジネスと確認された」と表示される。「女性が活躍、経営するビジネス」表示が、多くの人にとって安心や応援のための目印になることを願いつつも、理不尽に嫌悪や攻撃の標的になったら嫌だなと不安がよぎる。

 8月6日、男が電車で乗客を切りつけたニュースを、仕事仲間にかかってきた電話で知った。沿線を利用する娘を心配した実家のお母様からの電話だった。その後、逮捕された男の「幸せそうな女性を殺したかった」という供述が報道された。恐ろしくしんどい惨事の裾野には、「Twitterのアイコンをマ・ドンソクにすると嫌がらせが止む」日常がある。活躍とか輝くとか変に持ち上げなくていいから、安全に暮らしフェアに働けるようにしてほしい。

 私もどうせ使うお金なら「Women-led」に使いたい派なので、女性取締役が一人もいない企業からはなるべく買わないし、女性取締役が多い企業は応援する。役員になることがどんな女性にとっても唯一の馬車馬ゴールみたいなことが言いたいんじゃなくて、トップの多様性が担保されるのは組織や労働者やカスタマーにとってよい影響があると考えるからだ。特に、現場の女性の生殺与奪を、より良い条件で働く男性上司たちが(時にハラスメントつきで)握る構図にはうんざり。

 日経xwomanが上場企業300社を独自調査し「女性取締役2021ランキング」を発表した。美容業界からは、1位に資生堂、18位にポーラ・オルビスホールディングスがランクイン。「女性取締役ゼロ」だった43社のうち、ファストリと無印は、新疆綿の問題でも批判されているし、SDGs的な見地からはますます微妙に……。限られた予算の中で手頃なものを手に入れる選択肢に目くじらを立てたくないけど、「正当なコストを価値の一部として引き受ける余裕があるとき」は、責任持って「選ばない」大人でいたい。

「人権侵害リスクが低い」企業から買おう

 世界的な潮目もあるとはいえ、やっぱり花王が「美白」という表現を使わないと宣言した影響は大きかったと思う。化粧品の成分に、「美白有効成分」(厚生労働省から「メラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ」orこれに類似した効能を表示することが認められた成分。配合して諸条件をクリアすると「医薬部外品」表示が取れる)というものがある。私は「美白」を使わない方向で意識しているものの、先日雑誌の原稿に「成分の説明なら仕方ないか……」と「美白有効成分」と書いたら、「うちでは美白って書かないことになったから」と赤字が入った。既にそのぐらいきっぱりと舵が切られているのだ。

 最近になって、花王がもうひとつ大きな舵を切った。原料を調達する過程での人権侵害を排除すると発表したのだ。具体的には、2021年後半からインドネシアで現地企業と組みパーム油原料を生産する5000の農園と直接対話や技術支援を通じ、生活環境を改善して強制労働や過酷な労働環境など課題解決を目指すという。

 パーム油については、気候や環境の観点での問題が懸念されているが、花王は「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」理事会メンバー企業でもある。

  近年、EU主導で強制労働などの人権侵害リスクに厳しい目が向けられるようになり、企業には人権侵害リスクを把握し予防や軽減策を講じる責任「人権デューデリジェンス」が課される潮流にある。規模が大きい企業(や、ざっくりOEM使っている企業)にとって、原料調達から加工・生産、販売までの過程をつぶさに把握するには膨大なコストがかかる。でも、「物を作って売る過程で誰のことも搾取してない」と証明することは、そのコスト以上の価値があるのだ。今はまだ「グローバルで勝負したいなら」みたいなニュアンスが強いけれど、「人権侵害の上にあぐらをかいた製品は使いたくありませーん!」という意識を持つ人が増えたら、日本でもスタンダードになるはず。

OSAJIの冬の限定ネイルがかわいかったよ

OSAJI 2021 HOLIDAY MAKEUP COLLECTION アップリフト ネイルカラー 全6色 各10ml ¥1870(10月20日限定発売)
OSAJI 2021 HOLIDAY MAKEUP COLLECTION アップリフト ネイルカラー 全6色 各10ml ¥1870(10月20日限定発売)

 最後に申し訳程度ですが、最近ときめいたコスメを紹介します。写真家の石田真澄さんとコラボレーションしたパッケージがとてもかわいいOSAJIのアップリフト ネイルカラー、冬の限定色。撮り下ろし作品から色を抜き出して、ネイルにしたんだって。これは、203 Sakazuki〈盃〉というカラー。シアーなセージグリーンにブロンズラメを敷き詰めた、ベージュニュアンスのブラウンだそう。他のパケと色も可愛かったので、全色載っていたリンク貼っときますね。

 Twitterで「タリバンが女性に課す29の禁止事項」というツリーがシェアされていて、その中に"「化粧品の使用を禁止する(爪を塗った多くの女性は指を切断した)"という項目があって。今はもっと女性の権利が保証されていたらいいなと願いつつ、かなりショックを受けました。女性の解放を題目に軍事介入が強行された過去もあるということで、言及にはデリカシーが必要な面もあるかと思いつつ、とりあえず募金しました……。

英語ですが女性の支援に特化した支援先。paypal使えます。

 お久しぶりの「なんかなんか通信」でしたが、これから3ヶ月間ほど試験的に週3〜4回を目安に配信する予定です。Podcast『長田杏奈のなんかなんかコスメ』とは、連動する回もあればしない回も出てくるかと思います。すごい勢いで受信トレイに溜まったら申し訳ないですが、ぜひ末長くお付き合いいただけたらうれしいです。ではでは。

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